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k the musicgirl

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つまり、ウサギバニーボーイのレコ発、楽しかった

今この時代にフィジカルCDのレコ発というのは、現代人にとっての神社のお祭りみたいなものなんだと思う。


信心からは程遠いけどハレを体感しに祭に行くマインドと、CDに用はないけど発売日のレコ発ライブに集まるマインドというのは、中心を欠きながら機能を維持するゾンビ的で不可解な構図が相似だし。


しかしそれは、現生利益や購買欲などの(わかりやすい欲望に直結する)即物的な気持ちを超えた、いずれも何ともマジカルな空間だなあ、と。


つまり、昨日行ったウサギバニーボーイ「TSUNENOHI」レコ発、楽しかったんです。とにかくメデタイや嬉しいという純粋な気持ちに基づく、純度の高い祝祭空間でした。




# by kthemusicgirl | 2024-02-12 12:14 | YASUSHI Okada

おお!バンドマンだ!殺せ!


これは広島のSUEZENというバンドの曲のタイトルだ。「おお!バンドマンだ!殺せ!バンドマンだ!石を投げよう」という歌詞を持つ、僕らのアンセム?の一つ。


不完全な職業達成過程と労働問題 ――バンドマンの音楽活動にみるネットワーク形成のパラドクス――(野村 駿

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjals/20/0/20_1/_pdf/-char/ja

という、音楽で食べていけない段階のバンドマン達を社会学的に研究対象とした論文を今日読んだ。


たまたま昨日あたりXことツイッターのTLに流れてきたポストで、バンドマンを研究対象にしている社会学者としてこの方の名前を知り、公開されているこの論文に行き着いた。こういう切り口でこういった内容のことを論じているものは見たことがなくて、新鮮だった。(なんか指示名詞が多い。)


とはいえ、この中でバンドマンのネットワーク(稿中では”夢追いネットワーク”)が孕むパラドクス(正負の両面性)の負の側面(稿中では”逆機能”)として挙げられているものについて、そうなってしまっている要因の大半は、自分達のような、夢追いネットワークを傍目で見ながらそれとは似て非なるネットワーク(夢追わずネットワークか?)に身を置いてきた者から見れば、結構自明かもしれない、などとも思った。


稿中で負の側面の具体例として挙げられるのは、過剰なノルマをバンドマン側に課し、ときにスタッフとしてバンドマン達を劣悪な条件で雇うライブハウス、ブラックな契約を課す音楽事務所などだ。こうした要因によって金銭的に過度の搾取を受けて首が回らなくなり、長らくそのネットワークから抜けられない、あるいはネットワークを抜けバンドを辞めてしまう者も多い。もちろんそうでないライブハウスや音楽事務所もあるし、そもそもハコや事務所は、音楽で食べていけないバンドマン達を色んな意味でフックアップ・エンカレッジし、(将来的に音楽で食っていくか否かを問わず)継続的な音楽活動が可能となるようサポートする機能を有しているはずの(稿中にいう”順機能”的な)ものだ。それなのに逆機能的な要素が多分に含まれてしまう要因は、ハコや事務所が供給過剰になっていて、そうでもしないと利益が上がらないところが多数あること、もっと言えばそこに職を得ている(得ざるを得ない)人が多過ぎること、だろう。そして、そうしたポジションの多くは、元々「音楽で食べていけない段階のバンドマン」だった者が占めているのではないだろうか?身近にはそうした例が多く見られるように思う。


実のところ、これを煎じ詰めれば、労働市場の流動性の低さ及び非正規雇用の待遇の悪さ、という、日本の労働市場の宿痾ともいうべき事象に収斂されるのだろう。論文でも述べられているように、音楽で食えないバンドマンは、バンド活動を優先させるために、労働者としてはアルバイトなどの非正規雇用になることが多い。その者達がクリエイターとして音楽で食っていく道を諦めた場合に、非正規労働の条件・環境の悪さから、そのままその職種に本腰を入れようという気にはなれないことも多いだろう。だからと言って、新たな業種に転職しようとしても、正規雇用等の安定的あるいは好条件な中途採用枠が極端に少ない日本の労働市場での転職は困難を極める。すると、バンドの時のツテを頼って少しでも音楽に関われるライブハウスや音楽事務所に、というようなケースが多くなるのだろう。そして、人材過多によって自ずと供給過剰となったハコや事務所の中には、自らの経営を維持するために過剰なノルマや劣悪な条件、ブラックな契約をバンドマン達に課す者が出てくる、という絵に描いたような負のスパイラルがここに完成する。これ、ちょっと悪し様すぎる推測だけど、意外に当たらずとも遠からずではないかと思っている。


少なくとも20世紀後半からの日本の労働市場は、終身雇用をメインフレームとして構築されており、極めて若いうちに特定の業界の門を叩く者には手厚く面倒見も良いが、逆に「いい年になるまで就業はそこそこに夢を追っていた」的な者をはじめ、途中で方向転換を図ろうとする者に対して門戸はあまり開かれていない。加えて近年の経済の低迷から社会は余裕を失い、ネオリベ的な自己責任論が支配的になりつつある。とか何とか。


そうした社会状況や元々の「出る杭は打つ」精神風土も相まって、本邦において、それこそ食えないバンドマンなんかは、殺してしまえ、石を投げろ、てなものなんだだろう。


かくのごとく、この界隈を取り巻く状況には、今の日本社会の閉塞感が象徴的に顕れている。なので、その研究というのは、社会学的な研究対象として意外と価値のあるものなのかもね。


ちなみに、この論文の研究対象が「音楽で食っていけないなら辞める」みたいな態度のバンドマンばかりっぽいのが気になる。それゆえ副題が「音楽で食べていけない”段階の”バンドマン達」というような表現になっているのだろう。この研究者の方はご本人がバンドマンだった訳でもなく、また音楽にも詳しい方ではないらしい。そのため視野に入ってこなかったのかもしれないけど、僕の好きな、特に日本のバンドマンには、音楽だけで食べている状況ではないけれども、今後も決して音楽だけで食べることを目指している訳ではない人達が多いのだ。典型的な夢追いではなく、さりとて趣味でのんびりみたいな緩いやり方ではなく、持続可能な範囲でのマネタイズも含め、素晴らしい音楽を作り続けることは可能だし、実はそういうスタンスでの活動こそ自由で一層クリエイティブなものたり得るのではないだろうか?うーんこの最後の方は少し飛躍した感じがするけど詳しく述べると長くなるので、もうやめよう。


僕たちk the musicgirlも健全で持続可能なマネタイズの手段として、音源バッジを販売しています。詳しくはこの前の記事で!!(突如として宣伝)




# by kthemusicgirl | 2024-01-21 18:29 | YASUSHI Okada

Why don’t you dive into ONKYO-grunge music? (新しい音源 ”My New Gear EP” のこと)

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今年もよろしくお願いします。

先日xとかツイッターで連投しましたが、改めてまとめます。

2024年1月8日(月祝)4.14でのライブから、新音源”My New Gear EP”をリリースします。


・前作に続きQR付きバッジの形態です。

・500円です。

・バッジに印字されているQRコードスキャンで限定公開の音源サイトに飛んでストリーミング再生する方式です。

・今回の発売に間に合ったのは2色(謎緑、赤)です。今後あと3色ほど追加する予定です。

・ストリーミングでは4曲聴けます。

・ストリーミングサイトにダウンロードサイトへのリンクが置いてあり、そちらのサイトでWAV形式の曲データのダウンロードが可能です。

・ダウンロード版には一曲ボーナストラックを追加しています。かなり昔からやっている”Standard Needle”という曲のカラオケバージョンです。新録です。

・最初の18枚にはおまけの小さめのバッジが付きます。

・現在ライブでやっている曲が大方入っています。

・ライブ見て気に入ったら買ってね。

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# by kthemusicgirl | 2024-01-03 12:21 | YASUSHI Okada

私の城下町の一角(さよならHoly Stainさん)

私の城下町の一角(さよならHoly Stainさん)_e0093140_20514554.jpeg
最近、エフェクターボード(以下、城下町という)に10年以上いたこのエフェクターを外した。
写真を見ても何のエフェクターか分からない方も多いことでしょう。
Electro HarmonixのHoly Stainというエフェクターです。

エレハモといえば、ファズの定番Big Muffやカートコバーンの足元にあったコーラスSmall Cloneなど歪みから空間系まで名作の多いメーカーです。
そのエレハモが満を辞してリリースした初のマルチエフェクターがこのHoly Stain!
ですが、この後に出たマルチの謳い文句に「エレハモ初のマルチ」とか書かれており、この子は完全に歴史から消されたエフェクターのようです。
「エレハモ マルチ」でググっても一切引っかからない。
正直色々ツッコミ所も満載。

・歪みとモジュレーションの一種類ずつ設定可能。が、歪みのオンオフはノブでしか切り替えできず、フットスイッチはエフェクター全体のオンオフと、モジュレーション系の切り替えの二つだけ。
・モジュレーションはリバーブ1、リバーブ2、ピッチシフト、トレモロの順番で切り替えという奇天烈な並び。

つまり、ある特定の歪み(またはクリーン)とモジュレーションの組み合わせで固定して使うことしか想定されていない。マルチに期待されるサッと一発で色んな組み合わせを呼び出せる物とは程遠い代物なのでした。

しかし、このエフェクター、僕は積極的に愛用していました。理由は、以下のとおり。

理由その1、エレハモの筐体のペイントはすぐに剥げるものが多いところ、Holy Stainのペイントはしっかりしていて、いまだに大きな剥がれなどがない。表面にちょっとした模様が描かれており、凹凸も感じられるしっかりしたペイントで、美しい。

理由その2、モジュレーション系の唐突な切り替えで謎効果が作れる。曲中にリバーブが急にピッチシフトに変わったりすると意味のわからない展開になって、この切り替え自体に引っ張られた曲の展開を呼んだりすることもしばしば。

単なる偏愛ですね。しかしながら、不自由や不便、不自然を所与条件とすることで、自分の意図やセンスの範疇を超えた音を呼び込もうとするこの仕組みは、現代音楽的なのかプリミティブなのか分かりませんが、装置としてドキワクものだったのです。

そんなHoly Stainですが、この度別のモジュレーション系のエフェクターを新たに導入したことで、全く踏むことがなくなってしまい、ひとまず私の城下町から外れました。新しいヤツも、中でハチャメチャにエフェクトを組み込めるヤツで、作業の結果自分の想像を超える音ができたりする代物なので、危険装置を備えた城下町であることには変わりありません。少し寂しいけど、新たな危険装置によってオモロい曲ができることでしょう。

私の城下町の一角(さよならHoly Stainさん)_e0093140_20513549.jpeg

# by kthemusicgirl | 2023-10-26 20:57 | YASUSHI Okada

SUKIMAのStrengthは所詮StrengthされどStrength

SUKIMAのStrengthは所詮StrengthされどStrength_e0093140_18252906.jpeg

久しぶりの自分たち(とスピーカー)のイベントの紹介をするためにブログを書く。何と前回の更新はおよそ2年前。でも書く。


SUKIMA Strength (rebooted)

2/11(土) @ Hiroshima Roxette

open 17:30 start 18:00

ticket 2,000円(+ 1 drink order)

20歳未満1.000円(+ 1 drink order)


yoromeki (Okayama)

Oz (Fukuyama)

ki-wi (電脳空間)

ウサギバニーボーイ

speaker gain teardrop

k the musicgirl


自分なりにイベントの紹介を。

タイトルですが、これは昔スピーカーが使っていたイベント名で、分子間力とかファンデルワース 力(りょく)のことを意味しているのだと思っています。物というのは実は厳密にはどれもお互いにくっついてなくて、お互いに近づけば近づくほどその間の力が強まっていくだけ、なんだそうです。結局のところ唯我独尊であるべきバンドというもの達、そして地下格闘技場みたいなライブハウスに集まる音楽好き達の関係性もそんなものではないかと思っていて、限りなく仲良くなってもお互いのコアは不可侵。さりとてイベントなどでお互いに聴いて・見て酒を飲み話して、そのファンデルワース力を高めることができれば、UNITEしているも同然、というお話。


その趣旨にもかなっていると思うのですが、この日広島CONQUESTであるイベント「コンクリ詰め」と連動することに。こちらのイベントに入ったお客さんは、あちらでこちらのチケットを提示することで500円とワンドリンクで入場可能です。あちらのお客さんはこちらにあちらのチケットを提示するとワンドリンクだけで入場できます。指示語を駆使した説明が上手にできた。めでたい。



以下バンドの紹介おば。Youtubeの動画は一記事につき一つしか貼れませんという無粋なエラーが出たので、動画はリンクのみで失礼します。


yoromeki


https://twitter.com/yoromeki2/status/1596756590077833217

(Youtubeに動画を見つけられなかったので、Twitterのショート動画を。)


まずゲストのyoromeki 岡山から。ポストロック、クラウトロック、NEWWAVEとか色々言いたくなるけど、要するにとてつもなく美しい音を即妙な密度で鳴らすバンドです。今回はVJと一緒に演奏するので、視覚的にも楽しめそう。


Oz

さらにもう一つのゲストのOz 福山から。オルタナ、ポストロック、シューゲイズ的なアプローチのバンドですが、この界隈には稀有な、歌を中心に置いたバンドです。力強く美しい歌声とバンドのアンサンブルが共鳴してこの上ない高揚感を見る者に与えますよ。最近は特にbends期のレディへみがあって良い。


ki-wi


そして、もう一つはミステリーゲストのki-wi。元speaker gain teardropのベースで、僕が属していた某大学ロック同好会の元部長のオオタニ君と、同じくロック同好会のメンバーで現在関西でバンド活動している天才、ボビー君を含むメンバーがネット上で結成した、発想の時点で優勝のポストロックバンドです。バンド練習自体も主にネット上で行っているそうで、これはもう未来ですね。個人的にはボビー君のDL4が2つ置いてあるエフェクターボードを久しぶりに見るのが楽しみ。昔から嫉妬するくらいセンスの塊の人たちがやってるバンドなので、素晴らしいこと請け合い。告知映像作ってくれてた。嬉しい。


地元も万端な布陣で。


ウサギバニーボーイ


言わずと知れたウサギバニーボーイ。オルタナミーツ村下孝蔵を標榜するキテレツポップ・オルタナバンド。少し前にTwitterでも書きましたが、ウサギはリズムやギターワークのマニアックさという点で極めてポストロック的なのに、それをあくまでポップに落とし込むセンスが本当に素晴らしい。最近元kの徳さんが時々ベースを弾いているので、kとのファンデルワース力も上がっていると思います。


speaker gain teardrop


そして、一緒にイベントを組んでくれたスピーカー。シューゲイズ、ポストロック、エレクトロニカとか色々言ってみようとしましたが、要するにとてつもなく美しくデカい音でロックを鳴らすバンドです。スピーカーは、結成当初から広島のライブはほぼ全部行っているので、kとのファンデルワース力はどのバンドよりも強いと一方的に思っています。今日もスタジオでドラムのイッキさんとエンカウントしたし。


k the musicgirl

kも出ます。久しぶりに9分くらいの長い曲を作りました。見にきてください。




# by kthemusicgirl | 2023-02-05 19:15 | YASUSHI Okada
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広島在住「音響グランジ(?)」バンド、k the musicgirlの日記


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